賃貸に光回線を引こうとしたら「ポートに空きがありません」と言われた話

 「新居で光回線ないと辛いよなあ。」と呟きながら、夏の終わり頃に始めた物件探し。それから約2ヶ月、無事に新居は見つかり「いざネットの契約だ!」と意気込んでいた矢先に起きた事件のお話

 

 誰もがスマホを利用する時代に、生活インフラのなかで大きなウェイトを占めるのが「インターネット」という人は少なくないはず。私はもちろんその1人。

 

 そういう前提の元、私が物件を探す上で1番の条件にしていたのは、インターネットの固定回線が引けるということだった。

 最近の携帯料金は低価格化の流れもあり、生活する上では、テザリングやデータSIMでも正直全く問題はなかったんだけれども、仕事で家からVPN接続したり、ZOOMで会議をする上では、安定したインターネット回線が必要不可欠であるという結論に至った。

 

 こんなにも新居でのネット利用について考えていたのにはちゃんとした理由があって、大学入学当初にアパートを借りた際、回線工事がゴールデンウィーク直前まで伸び、履修登録等で苦い思いをした経験をしたからだった。

 

 次は注意しておこうと、その時心に誓った。だから、内見の翌日にネット回線のお問い合わせをするなど、引越し予定日に開通するようなスケジュールを組んで動いていた。

 

 正直この時の私は、「我ながら計画的で偉いな」とすら思っていた。

 

 そしてついに見つけた今の契約物件は、大手不動産屋の胡散臭い営業に飽き飽きしていた時に偶然見つけた。寡黙なおじさんが1人で切り盛りする小さな不動屋に足を運んだ時であった。

 「すごい問い合わせが多いんですよ。」と遠慮気味な姿勢だけれども話のテンポ感が自分とマッチしていて、純粋にいいなと思えたのは初めてだった。

 もちろんその時点で、固定回線、すなわち光回線auひかりやNUROではない)が使える物件であることは確認済み。

 これは余談だが、インターネット付きの物件は、時と場合によっては割高であることもある。さらに自分でプロバイダを選べなかったり、IPv6に変更できなかったりするなど、いくつか注意点があるので、もしネット付きのお部屋を契約する際はよく確認したほうがいい。

 

 運良く、条件に見合う物件を見つけて、2日後に契約。

 早速、光回線事業者Dに光回線の申し込みをしてみたところ、「空きポートがありません」と、一刀両断されてしまった。

 そんなはずはない、と私は心で思っていたが、どうやら光回線を確認するシステムで、空きポートについての記載があるらしく、マンションタイプの回線で契約するのは不可能ということだった。

 初めての出来事で、私も困惑したので、一旦ネットの契約を待ってもらい、ググってみたり、管理会社に問い合わせてみた。

 

 インターネット上では、割と良くある話のようで、マンションの戸数が10部屋で、MDFという分配装置が8部屋分しかないといった事例もあるそうで、どうやら運が悪いのかもしれないな。と思った。

 

 だがしかし、物件の管理会社に電話でお問い合わせをしたところ、「各部屋1回線ずつ準備されておりますので、ポートに空きがないという理由がわからない。また、それをこちらで監視するような術は持ち合わせていないので、NTTさんに逐一お問い合わせしてみてください。」というなんとも踏んだり蹴ったりな事態になってしまった。

 

 この時点で、薄々嫌な予感はしていたが、物件の管理会社はインターネット設備の接続状況がわからず、光回線を提供する会社からすると、ポートが塞がっているため、電柱からの引き込み工事が必要であるという言い分だった。

 

 これは、相当時間がかかりそうであると、ため息がでた。

 

 念の為、フレッツ光にも確認の電話をしたところ、「確かに空きポートはないが、前の入居者が使用している回線が残っている可能性がある」との言い分があり、その筋でなんとなく状況がつかめてきたので、空きポートが開くのを待つか、引き込み工事を行うかの2択となった。(フレッツ光の方はめちゃくちゃ丁寧でした。)

 

 悩んだ挙句、携帯電波の悪さと仕事の都合上しかたなく戸建てタイプで契約することにした。オペレーターには、もし空きポートがあれば直ちにマンションタイプに変更して欲しい旨を伝え、任意のタイミングで私からお問い合わせするような形であれば、プランの変更ができるとの確認ができた。※要工事

 

 約1ヶ月後の平日に工事日の日程を決め、とりあえず待つことに。

 

 その工事日までの期間はやっぱり辛く、会社のWi-Fiと実家で難を逃れたが今思うとほんの些細なことだった。

 

 それから工事日が来て、約束の午後。携帯に一本の電話が鳴った。

「こちらの物件、穴あけ・ビス留めしないと引き込めません。回線事業者Dにプランの確認をしてくれ。」

と、工事担当者からだった。だいぶ端折るが、要は管理会社の許可が必要であるという話だ。

 

 管理会社には前もって、引き込み工事の場合(基本的に光回線があるのでその必要はないの一点張りだったが)、穴あけはしないでと確認していたため、これは俗にいう「詰み」ではないかと、目の前が真っ暗になった。

 

 それでも仕方ないと、ダメ元で回線事業者Dに電話したところ、「空きポートは確かにない。管理会社の許可を得るため、工事の詳細を今一度調べる必要がある。改めて工事の予約をしてください。」

 

 よく分からなかった、要するに+2〜3ヶ月後になるというお話だった。

早く使うために、戸建てタイプにしたのにあんまりだと思いその場で契約は破棄。

 コンセントタイプのWi-Fiでも使うか。と思っていたが、なんとんく腑に落ちないことばかりで、違う光回線だったらどうなるのか気になってしまった。(悔しい気持ちもあった)

 

 1週間後、あらためてインターネットを契約しようとググって見つけた「enひかり」に、軽い気持ちで申し込んでみた。

 

 そこでもお電話で「空きポートはない」と言われ、「まあそうですよね」という感じ、金額が割と安かったので、今回は戸建てタイプの契約をすることにして、管理会社に工事の詳細も送ってもらうようにお願いした。

 

 工事日はなんとその2週間経たないくらいだった。「あれ、工事日って差があるのか…」とちょっと疑問に思ったが、ラッキーな出来事として、工事を待つことにした。

 

 工事日当日、午前中に家で待っていたところ、やってきた工事担当の方から開口一番にこう言われた。

 

担当者「なんで、戸建てタイプでの契約なのですか?」

 

私「空きポートがないらしいです。仕方なく、戸建てタイプにしました。」

 

担当者「下見しましたけど、空きポートありますよ。」

 

私「え!?それは嘘ですよね?」

 

担当者「証拠お見せしましょうか?」

 

 この2ヶ月くらいの『空きポート問題』に終止符が打たれた瞬間であった。

 工事担当のお爺さんがここから神プがはじめる。

 

 私は部屋の外に出て、マンションのMDF室に連れて行かれ、扉が開いた状態、分配装置を見せられた。色々と説明されたが、私の部屋番号の記載されたポートには線が刺さっていたが、そのほか2ポートほど余っていた。

 

 工事担当者曰く「このポートがあなたのお部屋までの接続を意味するのですが、これは工事済みの証拠で光回線がお部屋まで来ているはずです。つまり、マンションタイプであれば派遣工事はいらないでしょう。」

 とりあえずenひかりに確認してみて、と言われたので、早速電話しようとしたが、営業時間外。少し待つことにした。

 

 その間なんと、工事担当者の方が再びやってきて、「お部屋の光コンセント調べさせてください。」と、一言。

 

 どうぞと、部屋に入ってもらい、光コンセントになにやら機械を接続していた。

「(機械の画面を指差し)これみてください。来てますね。光回線のインターネット。モデム送って貰えば開通しますよ、これ。」

 

 工事担当者は颯爽と部屋を立ち去っていった。

 

 実は、enひかりは価格が安い代わりに、契約期間の縛りがないこととの他、初期費用として工事料金がかかる。その他回線事業者ではあんまりみない。

 

 その工事料金は工事の内容によって変わるような仕組みになっているのだ。もちろん、無派遣工事(宅内設備ありを条件に、回線事業者側での変更・登録処理で完結)が最安値であり、初期費用が抑えられるとなれば、かなりの幸運だった。

 

 営業時間になり、早速電話してみると、

 

オペレーター「ポートはこの1週間で空いた可能性」

 

私「(だったら教えてくれ)そうですか、ではプラン変更をお願いします。それと、モデムを送ってください。(無派遣工事で)」

 

オペレーター「プラン変更は可能ですが、システム上派遣工事が必要と出ています。そのため新たに工事日を予約してください。」

 

私「工事担当者の方が、モデムだけ大丈夫とおっしゃってましたよ?」

 

オペレーター「ですが…」

 

〜この問答を少し続けて〜

 

オペレーター「確認します」

 

〜♪〜(保留音)

 

オペレーター「モデムお送りしますが、万が一繋がらなかった場合は緊急派遣となり、工事費用がかかります(全額)」

 

私「(え、脅すやん)モデム送るのと工事、どっちが早いですか?」

 

オペレーター「無派遣工事でも最低1週間前後必要です。工事する場合は空き状況のよりますが2~4週間です。」

 

私「それでは、モデムを送ってください。できるだけ早く使いたいので」

 

オペレーター「わかりました。緊急派遣工事についてはご了承いただけるとのことでしたら、今回特別に無派遣工事でご対応いたします。」

 

 このような少し不安なやりとりの末、工事担当者の言葉を信じて無派遣工事で対応してもらうことにした。

 

 約1週間後くらいに開通案内書が届き、その3日後にモデムが届いた。(早い)

 

 やっと繋げるなと思いながら、モデムと新たに購入したWi-Fiルーターを接続。申し込んだ光回線IPv6であるため、基本的には繋いだらハッピーハローインターネット状態のはず。

 ところが、ルーターを自動判別モードにして設定してみても、どういうことかプロバイダ支給のIDとパスワードの入力を求められてしまう。

 (今回は「v6プラス」のオプションを付けたため、PPPoE接続で必要な従来のいわゆるID・パスワードの記載は無し。)

 

 試しにマニュアルモードにしても、結果は変わらず。

 

 ルーターの設定が間違ってるのかと思い、固定IPにしたり、NDプロキシに変えてみたり、できる限りのことを試したが、全くIPv6回線を判別しなかった。

 

 すぐにenひかりに電話しようとしたが、またしても営業時間外。メール対応もなかったので次の日に電話をかけてみることに。

 というか、光回線の申し込みとかって電話ばっかりで、メールやらチャットがないのが本当に不便、絶対需要あるのに!

 

 次の日に電話してみると、どうやらIPv6プラスにそもそも入っていないというオチだった。

 

 改めて再接続してみたら、やっとルーターのインターネットランプが点灯。ここに来て謎の達成感があった。

 

 めでたしめでたし。

 

 と思いきやどうやら様子がおかしい。

 

「あれ、GoogleYouTube、インスタしか繋がらないぞ。LINE・Amazon開けないわ。」

 

 という謎の現象。インターネットの速度はとても速くて、申し分ない。スマホタブレット・PCすべてにWi-Fiに繋いで試しても同じ。

 

 ほとんどのサイトでブラウザのページエラー画面が出てきてしまう。

 

 参った。ここに来てまたトラブルか。

 

 ちなみに使用ルータはバッファロー製のモデルで、もちろんIPv6プラスに対応、あとWi-Fi6にも。本当はGoogleルーターが欲しかったんだけど、v6プラスには未対応のため今回はスルー。

 

 ホームページのチャットや色々なブログを調べたが、どうやらIPv4IPアドレスを正しく設定できていないようで、IPv6に対応したWEBサイトやアプリケーションしかアクセスできないという現象らしい。

 

 要するにIPv4インターネットとIPv6インターネットは全くの別の世界で、自分のルーターIPv4インターネット上に住所がありません。という状況で、実はこれは正常で、IPv6インターネットを使ってIPv4インターネットにアクセスすることは基本的にはできないのだ。

 

 で、それを解決するために登場したのがIPv4 over IPv6通信なんだけど、要するにこの通信方式の一つが「IPv6プラス」というオプションな訳で、今回繋がらない理由は、そのための設定がルーター上で完結できていないらしかった。

 

 それから、試せることは全て試したし、ルーターのリセットと、再起動、設定の変更をやってみても全く状況は変わらず。

 

 正直かなり腰が折れそうだったが、なんと1週間後にもう一度ルーターの設定をリセットして再起動したらものの数分で簡単に繋がってしまった。ルーターのモードは自動。あっという間だった。

 

「これが、IPoE IPv6の一番楽ちんなところか」

 

 と、妙に感心してしまった。インターネット接続確認サイトでもIPv4アドレスが検出され、やっとインターネットが快適に使えると、一段落した。

 どうやら時間が必要だったようだ。

 確かにネットをみると2日後に繋がったという話もあったが、私の場合1週間。

 まあその3日前とかには、半ば諦めて再起動とかしてなかったから、繋げてたのかも知れないけど、結果はどうであれすぐには繋がらないということだろう。

 

 次契約するときは、まずIPv4からでも良いかもしれない。

 (なんだかんだでめっちゃ光回線とネットワークに詳しくなってしまった。)

 

 ちなみに、enひかりでは「勝手割り」というお得なプランがあって、「UQ mobile」「ahamo」ユーザーだと100円引きしてもらえる。手続きは料金確定メールを転送するだけで簡単でした。

 全体的にも、電話がつながりやすくて対応も丁寧だったし、色々と速かった。

 結果的には選んでよかったかなと思えた。

 初心者には情報少なくて少し難易度高いかもしれないから、この記事が少しでも役に立てば光栄だ。